漫画「君たちはどう生きるか」 原作 吉野源三郎 漫画 羽賀翔一
数年前に発売された本です。
本棚の片付けをしているときにうっかり中を開いてしまって、片付けなんかそっちのけで読みふけってしまいました。
改めて読んで、その内容に改めて感動。この本の持つパワーは凄い。
というわけで感想文を書いてみました。(夏休みの宿題気分。)
そんな私の自己満足記事ですが、よろしければお付き合いくだされば嬉しいです。
注:多少のネタバレが混じっています。
漫画「君たちはどう生きるか」
漫画「君たちはどう生きるか」は、1937年に小説として出版されたものが2017年に漫画化されたものです。
私自身は原作である小説を読んだことはありません。
この本の内容はもちろん、奥深さも偉大さも知らずにこの本を手に取りました。(ただ話題になっていたからという理由で。)
昭和初期を舞台に描かれており、思春期の少年とその叔父とのやり取りを中心に話は進んでいきます。
時代の中で
昭和後半生まれの私にとっては昭和初期という時代背景は小説や映画からしか感じ取ることができない。
生活様式や社会形態が目まぐるしく変わっていく中で、どのように自分を保ったのか。それとも流れのままに適応させていったのだろうか。
現代のように情報の波が押し寄せていることはなく、目の前にあるものを感じ、どう捉えていくかに集中できる面はあったかもしれない。情報にまみれて自分を見失いかけている私からすると、少し羨ましくもある。
激動の昭和の中、主人公は日常を通して目の前にあるもの、人と向き合っていく。
まわりに流されることではなく、自分が何を感じるか。どう感じるか。
出会いの中で、当たり前の日常が少しずつ変化していく。
定められたことなど最初から何もなかったのかのように。
試練のとき
今までの自分では乗り越えられないような問題が起きたとき、戸惑い、もがき、嫌でも立ち止まる必要が出てくることがある。
壁の傍観者としておわるのか。壁を乗り越えようとするのか。
試練を克服することだけが道ではなく、逃げねばならない事象のこともある。
でも乗り越えたいと願うとき、そこに手を差し伸べてくれる人はいる。
大人が決めつけた答えを子供に教えることが正解ではない。
主人公に優しく寄り添う大人と、つかず離れず叱咤激励してくれる大人。
「答えは自分の中にある。」
自分自身で答えを見つけられるために、寄り添い、示す。
自分で壁を乗り越えられたとき、過去の自分は応援者となる。
結果や相手の気持ちを、自分の思い込みで判断せずに、自分の気持ちに従うこと。
自分の中の真実を見つけ出す。
失敗は未来の自分を形作る、ピースの1つであるに過ぎない。
失敗をしてもいい。たくさん失敗して、次に進んで行けばいい。
読み終わって
とても印象的だったのが、主人公が悩み塞ぎ込んでいるときに、水流につかってしまい身動きができなくなっている場面。
感情や思考の波に流され、翻弄されてしまう経験は私にもある。
ネガティブな妄想や思考の沼から抜け出せなくなったときはどうすればいいのか。
それをとてもわかりやすく教えてくれている。(波を止めるイメージは大切。)
「答えは自分の中にある。」
あれをしなければ(場の空気を読んで)、こうしておいた方がいいのではないか(年齢的に、時代的に)。
「やるべき・やらねば」に捉われ、時代や情報に流され、固定観念に縛られている私への警報であり、道しるべであると感じた。
自分と向き合うということ。
心と向き合うということ。
自分自身にも、子供たちにとっても大切なこと。
そして、答えを教えるだけが役目ではない。
答えは自分の中にあると、それとなく気づかせてくれる。
子供たちに寄り添い、ときには叱咤激励し、導く。
そんな大人になりたいと切に願う。(もう大人ですけど。これからなるという希望を込めて。)
どの年齢の人が読んでも心に刺さる場面があるのではないかと思う。
文章と描写のパワーをビリビリと感じられる、とても素敵な本です。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
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