離婚に関わる公正証書

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突然ですが、この度離婚することが決まりました。

別居期間が長いので精神的ダメージはあまりないのですが(ゼロではないです)、子供の養育費についてだけは公正証書にしておきたいという思いがありました。

協議離婚ならわざわざそんなことをしなくても離婚はできてしまいます。ですが公正証書にしておくことは「離れていても子供のことをこれからも想っていてほしい」という私の願いでもありました。

ただでさえ離婚に関わる手続きはいろいろあるのに、面倒な手続きが増えるではないかという方にはおすすめしません。

少しでも書類にしておくことを考えている人にとっては何かのお役に立てるかもしれないと思い、記事に残しておこうと考えました。

公正証書とは

契約書に関する画像

公正証書とは、ある人が法的に意味のある行為をしたという事実を証明したという文書であって、そのような証明文書を作成するために必要な公的資格を持つ専門家(公証人)が、行為者の依頼に基づく職務として作成するものをいう。

Wikipedia 公正証書より引用

公正証書は執行力を持っています。

例えば金銭に関わる決め事をした上で支払いが滞った場合には、必要な手続きをすれば「強制執行」の申し立てを行うことができます。

離婚に関する公正証書でいうなら、養育費や慰謝料の支払いが滞ったときに、相手の給与や口座を差し押さえる手続きがスムーズにできるということになります。(詳しくは行政書士や弁護士のHPを調べてみてください)

公正証書にしておくことは、金銭を支払われる側にとっては大きなメリットとなり得るでしょう。

公正証書は離婚に関わる公正証書以外には、遺言公正証書や不動産に関する契約公正証書などがあります。

離婚に関する公正証書作成の流れ

公証役場とは

公正証書は公証役場で作成してもらいます。

公正証書にする(財産分与や養育費の)条件が決まっていて、かつ両者の合意がある場合に公正証書作成を依頼します。

公証役場は公正証書の内容の詳細な設定の相談をするところではありません

決まった事項を公正証書にするために出向くところと思っておいた方がよいでしょう。

離婚に関する公正証書であれば、夫婦で合意が取れている条件を担当の公証人に伝え、その内容で公正証書を作成してもらいます。

電話で予約と必要書類の確認

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事前に調べてはいたものの、いざ自分で作ろうとなると文言や内容には専門性が必要になる部分も多くあります。

どうしても自分でできそうにないという人は、行政書士にお願いをすれば手数料はかかりますが公正証書作成のサポートを依頼することができます。

私の離婚の場合は養育費のみでしたし、養育費の金額についても夫の了承を得ていましたので、ひとまず公証役場に電話をして訊ねてみました。

(もし財産分与や年金分割などいくつか項目がある場合には、まずご夫婦での話し合いが必要です。決裂するようなら弁護士への相談なども検討するのが良いと思います。)

「養育費のみで金額も決まっており、内容についてご夫婦の合意があるのなら公正証書作成の事前相談をお受け頂けます。」との回答でした。

公正証書の内容をどのようにするかについての相談は受けないが、決まっている事項の記載に関する相談は受けるとのことでした。

事前相談

条件を伝えて公正証書作成に向かうための事前相談は、無料で受けることができました。

事前に必要なものも電話で確認ができるので、あらかじめ聞いておくとその後の手続きがスムーズになるでしょう。

私の場合は、

戸籍謄本(夫婦の名前と本籍などすべてが記載されている全項事項証明)

夫婦それぞれの身分証明書のコピー

が必要でした。

(事前相談の時点では必須ではありません。詳しくは行く予定の公証役場へお問い合わせください。)

受付を済ませ、担当の公証人へこちらの希望を伝えます。

私の場合は養育費○○円を子供が○○歳になるまで支払ってもらうこと

条件を伝え、公証人からいくつか質問を受けるのでそれに答え(追加する文面に関して訊かれます)、公正証書作成までどれくらいかかるのかを確認。

次の予約時には公正証書を完成させるために夫婦で来所しますので、夫婦どちらも都合のつく日に次回の予約を取って事前相談は終了となりました。

事前相談にかかった時間は30分ほど。記載してもらう項目が少なかったせいもありますが、あくまでも私の場合は短時間で終わりました。内容さえ決まっていれば事前相談はスムーズに終わるのかもしれません。

ネットで調べたときは「公正証書作成までに時間がかかる場合がある」とあったので、とにかく早めに動いて作成してもらおうと考えていましたが、作成までの時間を聞いてみると意外にもすぐ出来あがるとの返答でした。

公正証書作成

離婚、手続きに関する画像

次の予約当日は夫婦で来所して手続きをする必要があります。

代理人を立てることも可能なようですが、夫の代理人は夫の身内、妻の代理人は妻の身内でなければいけないようなことを受付の方が言っていました。

「大事な手続きだから、忙しさを理由にせずに来てほしい。」

そう夫に伝えると、最初は行き渋っていた夫が「〇曜日の〇時からなら都合がつく」と言ってくれました。

子供のことに関してはちゃんと考えてくれる姿勢があるのがわかって、少しほっとしました。

そして予約当日、夫婦で出向いて合意した文面を読み上げてもらい、それぞれが署名と印鑑を押します。

所定の手数料を支払って公正証書の写しを受け取り、窓口でいくつかの書類に記名と押印をして手続きは終了しました。

週半ばに事前相談に出向き、2日後には文面確認のためのデータが届いて夫婦両者が確認。その次の週半ばには夫婦で出向いて公正証書を完成させるというスピード作成でした。

私の場合は運が良かったのかもしれませんが(予約が取れるタイミングとか)、事前相談から完成まで約一週間で手続きを終えることができました。

公正証書作成当日に必要なものはこちらです。

夫婦それぞれの身分証明書

夫婦それぞれの印鑑

手数料

手数料

手数料は、公正証書に記す目的の価額により金額が決められています。

例えば、10歳になった子供が20歳になる月まで5万円の養育費を支払ってもらうと取り決めたとします。

例 50,000円/月×1人(子供の人数)×120ヶ月(12か月×10年)=6,000,000円

となります。

目的の価額が6,000,000円の場合は、公正証書作成の手数料は17,000円となります。

(参考資料:日本公証人連合会ホームページより)

養育費の他にも慰謝料や財産分与・年金分割の項目がある場合は価額は変動します。

作成の手数料以外にも公正証書の正本・謄本代、執行文を追加するための代金など、プラスで数千円必要になりました。

会計に関しては支払日までにいくら必要かを教えてくれますので、当日までに必要資金を整えることができます。

公正証書を作成したその後

支払う側より支払われる側へのメリットが大きい公正証書は、証書としての効力を持つ分手続きも簡単なものではありません。

作成するまでは「ここまでする必要あるのかな」という気持ちも出てきていました。

予約を取るのも自分、必要書類を揃えるのも自分、手数料を支払うのも自分です。

離婚届だけ提出した方が楽なんじゃないかと思えたことも。

ですが作成し終えてみて実感したことは、子供たちへの夫の誠意を感じられたことです。

いつも仕事を優先しがちな夫が、子供のことを考えて書類作成に協力してくれたのです。

離婚はするけれど、子供のことに関してはこれからも良き協力者であってほしい

夫婦である最後の瞬間に、相手への感謝で終わることができたのです。

それだけでも公正証書を作成する意味が、私にはじゅうぶんにありました。

(もちろん養育費による経済的安心感も重要ですよ。)

まとめ

公証役場も公正証書も、専門家でもなければお世話になる機会はほとんどない場所でしょう。

私にとっても今回が最初で最後の訪問であってほしいです…。

この記事が何かのお役にたてれば幸いです。

お読み頂きありがとうございました。



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